まちと森がいかしあう関係の起点となる『キノマチ』からは、人や建物、社会、そして地球にとっての“いいこと”がたくさん生まれます。 竹中工務店がこれまでに『キノマチ』をつくりながら見つけたいいことを10個にまとめてご紹介します。
木でつくられた空間では、学習や仕事がはかどることが研究で明らかに。木の力によって、人が持つ能力を引き出すことができます。
学習への意欲と集中力を高める
木造校舎は子どもの学習環境に大きく影響します。木造校舎とR C 造校舎の利用者を対象としたアンケートでは、「眠気とだるさ」「注意集中の困難さ」などの疲労を訴える児童は R C 造校舎に比べて、木造校舎の方が少ないという結果が報告されました(*7)。
『江東区立有明西学園』の教師のみなさんは「この学校の子どもは学習に落着いて取り組んでいる」「校舎に使われている木自体に興味を持つ子どもが多い」など、木が子ども達の学びに与える効果につ いて実感していると言います。
*7
日本住宅・木材技術センター: 「木造校舎の教育環境」, p.52 – 61 (2004)
知的生産性を向上させる
木の香りには人をリラックスさせる作用があります。空間に木をふんだんに使った新柏クリニックで働く方々は「疲れにくくなった」「ポジティブな気持ちで働くことができる」と話しています。
内装の木質化率が異なる部屋で睡眠を取った翌日、オフィス環境でタイピング作業を行うモデル実験では、内装の木質化率0 %の部屋に比べ、内装の木質化率が45%や100%の部屋の方が深い睡眠が取れ、その結果タイピング作業の成績も高いことが報告されています(*8)。
また、ミズナラ材を使い建設された『サントリー ワールド リサーチ センター』で働く方からは「研究者同士の積極的なコミュニケーションが誘発されている」という声があがっています。
*8
林野庁:「科学的データによる木材・木造建築物のQ&A」, p.20 (2017)