まちと森がいかしあう関係の起点となる『キノマチ』からは、人や建物、社会、そして地球にとっての“いいこと”がたくさん生まれます。 竹中工務店がこれまでに『キノマチ』をつくりながら見つけたいいことを10個にまとめてご紹介します。
木は物語の宝庫です。生産者、生産地、その土地の風土や風習。そうした木の背景にある物語を知ると、木そのものや、その木を使った建築に愛着が生まれます。
木に宿る物語
木は物語と共に育った素材
木は植えられてから伐採・加工されるまでの数十年の間で、たくさんの人の手を渡っていきます。未来を想像しながら植えた人、丁寧に育てた人、先人に感謝しながら伐採した人、そして想いを引き継いで加工する人。それぞれの人の想いと愛情が物語となって木には刻まれているのです。
近年、消費者の購買傾向はモノからコトへのシフトが起こっており、商品の背景にある人や物語を知りたいという欲求が高まっています。そうした声に応えることのできるのが木という素材の特長と言えます。
物語に触れたとき、愛着が生まれる
木の生産や加工に携わった人の顔や背景を知ることは、その木を使った建築や空間に特別な愛着が芽生えるきっかけになります。
『深川川床』のプロジェクトは、東京都江東区を流れる大横川の上流と下流が、かつて材木の流通によってつながっていたという物語を再構築しました。川の下流域である深川に川床をつくる際に、地域の人々と一緒に上流域である埼玉県小川町を訪れ、森を見学し、木を直接購入しました。木材の背景にある物語を知った地域の人々にとって、 深川川床は大切な憩いの場になっています。