木のまちづくりから未来のヒントを見つけるマガジン キノマチウェブ

まちと森がいかしあう関係の起点となる『キノマチ』からは、人や建物、社会、そして地球にとっての“いいこと”がたくさん生まれます。 竹中工務店がこれまでに『キノマチ』をつくりながら見つけたいいことを10個にまとめてご紹介します。

なぜ日本には数百年と続く木造建築が現存しているのか。それは先人たちが木の特性を理解しながら使用し、丁寧にメンテナンスすることで、建物を長保ちさせてきたからです。

メンテナンスがしやすく建築寿命が長い

東京都市大学の調査によると、全国の寺院本堂約4000事例の平均使用年数 (建築から解体までの期間) は235年に達するそうです(*9)。中でも『唐招提寺』は築1000年を超えるなど、他の建築素材と比べても木には高い耐久性が備わっていることを証明しています。木造の建物は、他の素材に比べて傷んだ部分を見つけやすいという特長があり、柱の腐った部分を継手で取り替えるなど、伝統的なメンテナンスの技術も発達してきました。その結果、木造の建物は長く使い続けることができるのです。

*9
佐々木 健、小見 康夫、勝又 英明:日本建築学会計画系論文集 第82巻 第739号、2305-2311、2017年 9月

聴竹居(1928 年 / 京都府) 竹中工務店に在籍していた建築家、故・藤井厚二が、1928 年に京都府大山崎町に建てた自邸。日本の気候・風土に合わせて自然の力を巧みに利用することで環境との共生を図り、日本人のライフスタイルに西洋的な空間構成を導入させた藤井の集大成とされる作品。

日本の気候・風土に合った建て方

築90年を超える木造住宅『聴竹居』は 、屋根裏を活用した換気や、外気を取り込む通気口を設置し風通しをよくするなど、高温多湿で雨の多い日本の気候・風土の中でも長保ちする工夫がされています。

他にも、雨に当たりやすい木柱の根元に銅板を巻くことで材の腐食を防ぐ伝統技術や、また、木材を窒素加熱処理することで「腐れ」や「反り」に強くする現代の技術などは、日本の気候・風土だからこそ生まれてきた知恵です。

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