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接合(継手と仕口)とは

木材同士を接続してより長く大きな部材して使用するため、木と木を凹凸に刻み、組み合わせて一体化する接合方法が多数あります。木材を継ぎ足して長くする接合を「継手」、木材同士が直交もしくは斜交する接合を「仕口」と呼んでいます。

製材や集成材などの端部を加工して(刻んで)重ね合わせて一体化します。単純なかたちによるものから、どのように組み合わさっているのかからないような複雑なものまで多くの種類があります。

継手や仕口には、材の端部につくり出した突起(枘)を相手材の穴に差し込んで接合する「枘(ほぞ)差し」、材を互いに欠き込んで組み合わせる「相欠き(あいかき)」、互いに材を斜めに欠き取る「殺ぎ(そぎ)」などのほか、略鎌や蟻、鎌、腰掛けなど十数種類の技法があり、さらに木材同士をしっかりと組み固める工夫として、栓や楔などを併用することもあります。

建築様式に応じて特徴あるかたちの仕口と継手が生み出されますが、特に鎌倉時代初期に大陸から伝わった寺院建築様式である大仏様(だいぶつよう)と禅宗様(ぜんしゅうよう)の流行に伴い、継手と仕口の技術も大きく発達し、日本における継手と仕口の基本形は、このころに完成したともいわれています。近世以降はこれらを元に、世界に例をみないほどの多様な継手と仕口のバリエーションが大工たちによってつくり出されていきます。

いにしえの昔から大工が継手と仕口を考えるポイントは、
①荷重を効率よく伝える合理性
②加工作業の経済性
③現場での施工性
④納まりが美しく見える審美性
⑤メンテナンスの簡易性
といわれています。これは木造に限らず、構造設計において鉄筋コンクリート造や鉄骨造に同じく当てはまります。

その時代の空気が建築を生み出し、その建築を実現させるためにさまざまな技術が発達してきました。

木だけでなくコンクリートや鉄も、いかに部材どうしを接合して一体化し、頑丈な建物とするかが建築における技術開発の中心テーマとなってきました。これからの木造・木質建築の発展は、古くからある日本の継手と仕口の技術に学び、現代の建築にどう応用して使っていくか、という課題解決が普及のカギになるかもしれません。

Text: 竹中工務店 木造・木質建築推進本部 Photo:藤村雅彦

写真: 竹中大工道具館開館35周年記念巡回展「木組 分解してみました」展示より 

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