サーキュラーエコノミー(Circular Economy)とは
あらかじめ原材料の調達から、製品デザイン、回収、廃棄物の再資源化までを一体的にとらえ、廃棄物ゼロを目指す資源・経済循環の仕組みのこと。資源採掘から製品製造、消費、廃棄するものをリニアエコノミー(線形経済)として従来からの枠組みとし、また、その過程で一部廃棄物を再利用するリユースエコノミーとも異なる新たな概念として提言されています。
今までの経済活動は、資源・製品を利用し、使用後は廃棄物として処理されていました。これを「線型経済」(リニアエコノミー)といい、主な経済はこの形態でした。
これに対し「循環型経済」(サーキュラーエコノミー)とは、循環=円のことであり、資源・製品を回して、有効活用していくことを指します。
サーキュラーエコノミーにおいては、製品やサービスの設計段階から廃棄物を極力出さないデザインにすることが求められます。
従来の3R(廃棄物の発生抑制・循環資源の再使用・再生利用)の取り組みに加え、ストックを有効活用しながら、サービス化などを通じて付加価値を生み出す経済活動として、資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止などを目指すものです。
サーキュラーエコノミーの意義
サーキュラーエコノミーは、資源投入量・消費量を抑えつつ、廃棄物の発生の最小化につながる経済活動全体の在りかたが強調され、近年のG7でも「気候変動対策」「生物多様性の保全」と並んで、行動を強化すべき分野として位置づけられるなど、国際社会共通の課題となっています。
サーキュラーエコノミーを推進することによって、ライフサイクル全体における温室効果ガス「ホールライフカーボン」の排出低減につながり、カーボンニュートラル実現の観点からも重要と位置づけられています。
そしてサーキュラーエコノミー推進団体、エレン・マッカーサー財団は以下の三原則を掲げています。
1)Design out waste and pollution 廃棄物や汚染をなくす
2)Keep products and materials in use 製品や素材を使い続ける
3)Regenerate natural systu 自然のシステムを再生する
ワールドスタンダードな経済システムへ
欧州各国の政策に取り込まれているサーキュラーエコノミーですが、注目される社会的背景として、次の3つ理由があります。
ひとつめは、資源を持たない国が輸入に頼らず持続可能な社会・経済を実現するため、ふたつめは、廃棄物を減らし自然環境への負荷を減らすため、みっつめは、地球全体で続く人口増加に資源消費量が比例しない仕組みをつくるためです。
その実現の先に持続可能な成長のみならず、イノベーションによる国際競争力の向上や新規雇用の創出なども政策の成果として期待されています。
具体的な取り組みとしては、アムステルダムが2050年までにサーキュラーエコノミーを実装させる目標を掲げ、フィンランドでは2016年に「Finnish road map to a circular economy 2016 to 2025」を発表しています。
大きな費用が掛かる取り組みとなりますので、産官学の連携に加えて金融機関の支援、ESG投資の拡大が望まれます。
サーキュラーエコノミーは、生産者から消費者、廃棄物を資源として再利用する個人・組織が協力しあって実現することができる社会の仕組みとなります。
日本が目指すべき「サーキュラーエコノミー」
日本における温室効果ガス全排出量のうち、資源循環の取り組みで温室効果ガス削減に貢献できる余地がある部品や部材の割合は約36パーセントという試算があります。
そこで注目されている素材のひとつが「木」です。
一般に建築を構成する設備機器、鉄骨架構部材などの建材や製品には多様な資源と多くのステークホルダーが関与するため、その循環から廃棄物を出さない仕組みづくりには時間も労力も必要となります。
しかし、それに対し、木質建材では、原材料から建設現場までをリレーする企業数が比較的少なく、生産工程の長さも短く抑えられるので、サーキュラーエコノミーを実現するための良い条件がそろっているといえます。
木材は、その調達からバイオマスと連携をすることでさらに環境負荷低減と経済成長の両立を目指すことができます。「廃棄を前提としない」ものづくり、環境へのリテラシーが今後さらに重要視されてくる時代がやってくるでしょう。
Text: 竹中工務店 木造・木質建築推進本部 リライト:ココホレジャパン