コンピュテーショナルデザインとは
コンピュテーショナルデザイン(こんぴゅてーしょなるでざいん / Computational Design)とは、従来は設計者の経験や感性により行ってきたデザインプロセスをコンピュータが代用または支援して行う設計手法のことです。
建築の設計は、建築主が求める機能や意匠性などに対して、設計者が敷地形状や周辺環境等の様々な与条件を考慮して、意匠や構造、設備など複合的な要素を検討してすすめていきます。建物規模が大きいほどプロジェクト関係者も多く、設計段階での合意形成には多くのプロセスを必要とします。
従来は、設計者が検討したデザインプランを都度模型等にし、合意を図りながら進めるのが一般的でしたが、コンピュテーショナルデザインでは、様々な条件をパラメータとして入力して、コンピュータに演算させることで迅速に最適解を導き出せるようになり、設計の初期段階から目指す姿を関係者で共有できるようになりました。
またコンピュータで検討したプロセスが保存されるため、後からの振り返りや知的資産として再利用が可能となる、さらにコンピュータのデータやモデルを「製作、加工」までつなげることで生産性の飛躍的向上も期待される設計手法です。
欧米の大手組織設計事務所がコンピュテーショナルデザインに力を入れて取り組んでおり、設計手法の大きな潮流となってきています。竹中工務店では、2018年に専門部署を発足し、コンピュテーショナルデザインによる設計を取り入れた複数のプロジェクトが生まれています。
木材においては加工がしやすく自由なデザインをつくりやすいという特徴を持ち、コンピュテーショナルデザインが生み出す様々なデザインと親和性が高い建築材料といえます。今後コンピュテーショナルデザインを活用した木造建築が多く生まれることを期待しています。
参考文献:建築設計における情報革命最前線 竹中工務店が推進するコンピュテーショナルデザイン
写真は設計初期にコンピュテーショナルデザインを取り入れた「新柏クリニック糖尿病みらい(2020年竣工)」
Text: 竹中工務店 木造・木質建築推進本部