木のまちづくりから未来のヒントを見つけるマガジン キノマチウェブ

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2020.07.07
雇われ編集長の「生涯学習」①ベンチから思い浮かべる夕方からの情景

みなさん、はじめまして。

このたび、キノマチウェブの編集長を拝命しました樫村俊也です。ウェブ上のあいさつで失礼しています。

さて、このメディアの名前はズバリ「キノマチウェブ」。

まずは僕の、木との思い出やルーツをお伝えしたいところですが、正直、編集長になって初めて「木」を意識した者なんです。

初学者のまさに雇われ編集長。木への本当の意味での関心事も、これからです。そして年齢を明かすと既に昭和と平成をちょうど30年ずつと令和もちょっぴり、の還暦超え世代なんです。なにを今さら皆さんのような木の専門家を差し置いて、編集長?という気がしないでもない。

しかし、最近「生涯学習」といわれはじめています。生涯学習とは、生涯にわたって行う学習活動であり、今までの知識に磨きをかけるという面もありますが、新しいジャンルに挑戦する、という意味合いも強い気がします。キノマチ編集長とは僕にとって「60の手習い」なんです。人生の夕暮れと呼べる時期から改めて森林の学びに挑戦しようということです。そして編集メンバーやキノマチウェブに登場するプレイヤーたちにいろいろと教えていただきながら、木のメディアの編集長の職務を果たせれば、それは「生涯学習」のスタイルといえないこともありません。

さて、コロナ自粛中に読んだ本に「日の名残り(カズオ・イシグロ著/土屋正雄訳)早川文庫」があります。物語の終盤、執事である主人公が旅先でベンチに座り、主人に忠誠を献げてきた過ぎ去りし日々に後悔の念を抱き、悲しく物思いにふけるシーンがあります。そこでたまたまベンチの隣に座っていた60代の男がその執事にこう語りかけます。

人生、楽しまなくちゃ。夕方が一日でいちばん、いい時間なんだ。脚を伸ばして、のんびりするのさ。夕方が一番いい。わしはそう思う。みんなにも尋ねてごらんよ。夕方が一日いちばんいい時間だったと言うよ。」(中略) 私はここに残り、いまの瞬間をー桟橋のあかりが点燈するのをー待っておりました。先ほども申しましたが、楽しみを求めてこの桟橋に集まってきた人々が、点燈の瞬間に大きな歓声をあげました。その様子を見ておりますと、あの男の言葉の正しさが実感されます。たしかに多くの人々にとりまして、夕方は一日でいちばん楽しめる時間なのかも知れません

キノマチとは、森とまちがいかしあう関係が成立した地域社会のこと。

駅の周りや道の両側にぽつぽつと木が現しになった高いビルが建ちはじめる。

ビルの足元にはベンチがあり、昼下がりになると人々が集まる。

日暮れになり、電灯や建物内のあかりが点燈し、木のビルのファサードが木目も鮮やかな柱のように浮かびあがると歓声があがるーーー。

僕がこれから、キノマチ編集長としてそんな情景の実現に少しでも関わることができたら、それは生涯学習のひとつの理想像といえるかも知れないな、と思ったりしています。

末永くおつきあいのほど、よろしくお願い申しあげます。

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次回

(語り手)キノマチウェブ編集長
樫村俊也 Toshiya Kashimura 
東京都出身。一級建築士。技術士(建設部門、総合技術監理部門)。1983年竹中工務店入社。1984年より東京本店設計部にて50件以上の建築プロジェクト及び技術開発に関与。2014年設計本部設計企画部長、2015年広報部長、2019年経営企画室専門役、2020年木造・木質建築推進本部専門役を兼務。

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