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森林の水源涵養(かんよう)機能とは

森林に雨が降ると、木の枝葉が雨水を受け止めそのまま蒸発します。蒸発しなかった水分は土壌に浸透し、時間をかけて地下水となり河川へ流れ込みます。水源かん養機能とは大雨が降った際の急激な増水を防ぐとともに降水の少ない時期は河川流出が途絶えないよう水量や期間を治水する機能です。また、水が土壌を通過することでろ過され、浄化する機能もあります。

水源涵養機能は、森林の土の表面にある落葉腐植土層をはじめとした土壌階層や斜面を覆う木々や低い植物によって支えられており「樹木が生い茂っている山」に水源涵養機能が備わります。地形や降水条件など自然条件も影響しますが、人工林、天然林によらず、皆伐された山や森林の状態が良くない山は水源かん養機能が低いといえます。

近年、梅雨前線や台風などの影響で日本各地において豪雨が猛威を奮っています。特に最近の豪雨災害は線状降水帯による局地的降水によって記録的な降水量が長時間降り注ぎ、キャパシティを超えて流入した土砂が河川を塞き止めて氾濫し、大量の土砂を伴う水が市街地に甚大な被害をもたらしています。その一因として地球温暖化やそれに伴う水蒸気量の増加が挙げられています。

一方で、防げる水量が限られているダムでは全ての雨量に対応しきれず、被害がさらに拡大しています。これらの豪雨やそれに起因する洪水は、日本のみならず、世界規模の大問題となっています。

そこでキノマチウェブが今こそ見直したいのがこの森林の水源涵養機能です。森林を健全に保つことが山の土砂崩れや河川の氾濫を防ぐことにもなります。地球温暖化や環境破壊を引き起こしたであろう我々の大量生産・大量消費・大量廃棄型の暮らしかたは災害と表裏一体であることを思い知ります。この、急激に増える規格外な災害は「人災」ともいえるのではないでしょうか。

命を守ることとは。
持続可能性とは。
いま、本気で考えるときが来たように思います

参考文献:
林野庁 水源涵養機能
気象庁 気象研究所「地球温暖化で変わりつつある日本の豪雨」
国立研究開発法人 森林研究・整備機構「森林と水の謎を解く

Text: アサイアサミ

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