木の炭素固定(きのたんそこてい)とは
樹木は、光合成により大気中の二酸化炭素を吸収し、根や幹、枝葉を構成するためにブドウ糖などの炭水化物をつくり、成長します。この時につくられる炭水化物は炭素として樹木に貯蔵(固定)され、樹木の乾燥重量に占める炭素の割合は約5割といわれています。
樹木が枯れると微生物の力によって分解され、酸素を取り込んで再び大気中に二酸化炭素となって戻ってしまいますが、樹木を木材として利用する場合は、燃やさない限り、炭素は樹木に貯蔵(固定)され続けます。
樹木を含め植物は、光合成により二酸化炭素を吸収するかたわら、自身の呼吸により二酸化炭素を放出しています。成長期の若い森林では、樹木は二酸化炭素をどんどん吸収して大きくなります。
これに対し、成熟した森林になると、吸収量に対する呼吸量がだんだん多くなり、差し引きの吸収能力は低下して炭素の固定量の増えかたが少なくなるといわれています。
我が国では、利用期(伐採期)を迎えている人工林は日本の森林における全体の約7割と見込まれている一方、手入れが行き届いていない森林が多くあることが課題となっています。
人工林を適切に手入れし、利用期の樹木を木材として建物などに積極的に活用することで、まちが炭素の貯蔵庫となることが期待されています。
参考文献:
地球温暖化防止に向けて(林野庁)
森林はどのぐらいの量の二酸化炭素を吸収しているの?(林野庁)
森林白書「我が国の森林管理をめぐる課題」(林野庁)
Text: 竹中工務店 木造・木質建築推進本部