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2020.10.09
「そして中高層木造建築はみんなのリビングになった」フラッツ ウッズ 木場

『フラッツ ウッズ 木場』は、竹中工務店の挑戦的な木造建築技術を多用した次世代のコーポレートレジデンスとして今年竣工しました。

人に優しい中高層木造建築を都市に建てることで、木をめぐる社会問題を解決する足がかりとすることを目指したフラッツ ウッズ 木場の木からひと、ひとから技術、そしてまちへつながっていく物語は「The Flats Woods Kiba Story」で紹介しました。
そして“人に優しい”とは、環境や森林グランドサイクルに配慮するだけでなく、実際に住むひとにも優しくありたいとつくられたものです。独身者用家具&サービス付き賃貸住宅としてひとが暮らしはじめたフラッツ ウッズ 木場が、いま、どんな空間になっているのか。「The Flats Woods Kiba Story」の続編としてお送りします。

「新しい生活様式」にフィットした木質空間

まず、フラッツ ウッズ 木場の最上階に位置する共用のカフェテリアへ行きました。構造体でありながら燃エンウッドの現しも美しく、室内に癒やしをもたらしています。

そしてなによりも印象的だったのは、共用部にも関わらず、まるで我が家のようにみなさんがゆったりくつろがれていることです。

そしてフラッツ ウッズ 木場は竣工のタイミングがちょうど新型コロナ感染症が猛威をふるいはじめたころでした。入居者は入居と同時に新しい生活様式がはじまりました。

そのときの様子などを居住者の竹中工務店の張替涼太さんはこう話します。

張替涼太  Ryota Harigae
1989年生まれ。2011年日本大学理工学部電気工学科卒 業。2011年から4年間設備部にて作業所の施工管理業務を行う。その後、2年間設計部にて事務所ビルからテレビ局,スタジアムなどの特殊設備まで幅広く経験。また、長野や北海道では寒冷地仕様の設計を行うなど、多種多様なプロジェクトに関わる。現在プロダクト部 にてBIMの推進を行っている。

張替さん ずっと一人暮らしでしたが、働く時間までひとりになるのは今回はじめてでしたね。ワンルームですから自宅で仕事するとオフィスに比べたらやはり窮屈です。しかし、今春越してきたここだと共用部があります。天井も高いですし、換気もバッチリでソーシャルディスタンスも保たれます。あと、木があしらわれているのでなんとなく健康に良い気がします(笑)。

ここの主だといっても過言じゃないほど、ずっとここにいますよ。

写真に撮らせていただいた場所が張替さんの定位置だとか。太陽の光がさんさんと降り注いで気持ちがいい場所です。

張替さんの定位置のテーブルは「カリン」の木のテーブル。共用部のテーブルは多種多様な木のテーブルがあり、まるで原生林の中にでもいるかのよう。

張替さんが住まいをここにした決め手はやはり「木」。木特有の調湿機能や自然素材ならではの温かみを暮らしに取り入れたいと思ったそう。住まいを選ぶ基準に木のあしらいがポイントになるとは胸アツです。

新しい生活様式によって、ひとの集まりが分断されたように感じていたのですが、フラッツ ウッズ 木場はソーシャルディスタンスを保ちつつ同じ空間にいることが可能です。張替さんも「ごはんもここで食べます。みんなひとりでのんびり食べていますが、ひとりだけどひとりじゃない。ゆるくこの空間でつながれるのがいいです」とにっこり。

かわいいスツールの正体はフラッツ ウッズ 木場を支える燃エンウッド柱。
取材時は真夏でしたが、爽やかな風が吹き抜けて心地よいテラス。

そして、張替さんのもうひとつのお気に入りの場所はウッドテラス。場所は最上階にあるウッドテラス。ここにも木のあしらいがあり、都会の真ん中でも心安らげる場所になっています。張替さんはここでビールを飲むのがお気に入りなのだとか。

張替さん ここに住みたい理由のひとつが「木造に住みたい」と思ったことです。森林や自然は、好きですし、昨今の木造建築ブームもあり、今後、中高層木造建築の需要は増え続けていくことで、伐採可能な人工林の有効活用ができますよね。
個人的にも木材は優しく温もりがあるし、触った感触や香りが非常に魅力的だと感じます。環境にとっても、我々居住者にとっても中高層木造建築の需要が増えることについてメリットは多いにありです。実際の住人としての意見ですから間違いないです(笑)。

「ただいま」といいたくなる集合住宅に育てたい

そして、フラッツ ウッズ 木場で、暮らしをサポートするのが管理運営を行う大和ライフネクストです。フラッツ ウッズ 木場は、「いってらっしゃい」「おかえりなさい」と迎えてくれる「ひと」がいてこそ本当の意味で安らげる家になりました。

入居者が暮らしやすいよう縁の下の力持ちである大和ハウスネクストの谷田さんは、管理する側としてフラッツ ウッズ 木場の住心地をこんなふうに話してくださいました。

谷田 大樹 Hiroki Tanida
1995年大阪府出身。大学卒業後大和ライフネクスト入社。寮や社宅の管理業務に従事。

谷田さん やはり共用部が充実しているところはおすすめです。新型コロナ感染症対策は充分しつつ、いかに入居者さま同士の交流を持っていただけるかも気になりました。木が組み合わさることでとても交流を促しやすい建物になっていると思います。実際に木に顔を寄せるといい香りがするんです。本当に癒やされます。

管理員企画で交流会やイベントも行う予定でしたが、今は控えています。それでも、あのくつろげる空間に人が自然と集まってくださっているので良かったなぁと感じます。

エントランス部。ふんだんに木が使われているが、デザインと差し色の漆黒がエレガントさを演出する。

入居がはじまって半年が経つがフラッツ ウッズ 木場だからこその住心地を模索中だそう。

稲垣 雅紹 Masatsugu Inagaki
◎◎年大和ライフネクスト入社。フラッツウッズ木場の管理人として毎日暮らしを見守る。

稲垣さん 傘立てはどこにおいたほうがいい?など、利便性では玄関ですが、美しさは損ねてしまう…。など、置き場ひとつとっても、みなさんがここで良い暮らしができるよう試行錯誤しています。

やっぱり「ただいま」っていいたくなる家にしたいじゃないですか。みなさんお忙しい方ばかりですが、朝は「いってきます」、夕方は「ただいま」と我々に言ってくださるのが嬉しいです。

エクステリアが木造に映えるフラッツ ウッズ 木場のエントランス。

ご苦労されていることを伺うと「この建物のまわりは植物が多いので水やりがたいへんです。でも建物自体も木なので植物が映えるんです」と話して下さいました。

竹中工務店の木造建築技術の粋を集めた最新の中高層木造建築として今も問い合わせが絶えない注目の木造建築ですが、ひとが暮らす場としても木は癒やしを与えているようです。

住むひとも、暮らしを守るひとも、快適に暮らしています。

この建物に携わった物語の登場人物たちも、ひとと木と暮らしが紡ぐストーリーの続編を楽しみにしているに違いありません。

Text:アサイアサミ

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