CLT(シーエルティー)とは
CLTとは、Cross Laminated Timber(クロス・ラミネイティド・ティンバー)の略称で、原木から、のこ刀で挽いて切り出した板(ひき板)を並べた層を、木の繊維方向が直交するように重ねて接着した大版のパネル材料です。
CLTは、ひき板をたくさん並べたり、接着をして大きな面をつくり、それを互い違いに数枚重ね合わせ接着して製造する、厚く大きなパネル状の建材です。国内では、幅3メートル×長さ12メートルまでの大版パネルの作成が可能です。
ひき板を重ね合わせるとき、上下の層で木材の繊維方向をそろえ、積み重ねて一体化したものが集成材で、直交させて一体化したものがCLTです。CLTの日本語での名称が、日本農林規格(JAS規格)により「直交集成板」とされたゆえんです。
木材は、木の繊維に対して力がはたらく角度によって強度が異なります。ひき板を直交させて製造するCLTは、平面2方向・垂直方向の力に抵抗できるため、パネル状の構造材としての強度に優れ、床や壁に利用されます。一方、木材の繊維が同じ方向に並ぶ集成材は、木の繊維に平行な一方向に強く、柱や梁に利用されます。
CLTは1990年代にオーストリアを中心に発展しました。日本では2013年12月に製造規格となる日本農林規格(JAS規格)が制定され、2016年4月にCLT関連の建築基準法告示が公布・施行されました。これらにより、CLTの一般利用がスタートしています。
そしてCLTは木の塊です。これまでの木造建築物に使われてきた材料に比べ、単位面積当たりの木材使用量が多く、たくさんの国産材を使うことができます。また、現在利用が進んでいない間伐材や製材ランクの低いB材のCLTへ有効活用が期待されています。
参考文献: 「JAS情報 2018年11月号」
Text: 竹中工務店 木造・木質建築推進本部