木のまちづくりから未来のヒントを見つけるマガジン キノマチウェブ

2020.11.13
「「森をいかし、森にいかされる街をつくる」を視聴して」キノマチ大会議 2日目感想

オンラインカンファレンス「キノマチ大会議」は、おかげさまで大好評のうちに幕を閉じました。「木のまち」をつくる全国の仲間とオンラインでつながることができたのは、キノマチプロジェクトとしても大事な出来事となりました。

トークセッションを聞いた参加者から「キノマチ大会議」に参加したことで得られたことをレポートしていただきました。カンファレンスの印象に残った言葉から自分ごととキノマチを照らし合わせて起きた化学反応は、きっと未来を変えていくちからになって行くはずです。

「森をいかし、森にいかされる街をつくる」を視聴して

キノマチ大会議 2日目感想 竹中工務店北海道支店 藤田純也さん

北海道に赴任して5年になりますが、北海道で何か面白いことをしている人を見つけると、都会で生活を経験した人が多い様です。日常的にそこに暮らしていると、それがあたりまえになっていて、その場所のポテンシャルや豊かさに気がつくことが難しいのかもしれません。新しい文化は辺境から生まれると言いますし、他所者の視点や発想がその土地の新しい文化を生み出すきっかけとなるのは古今東西共通している様に思われます。

キノマチ大会議2日目に聴いた『森をいかし、森にいかされるまちをつくる』の、飛騨や伊那谷、郡上八幡や川島町の話は、どれもその魅力を見つけた「魅力発見の達人達」の話でした。森や林をめぐる「小さな気づき」が大きな魅力やまちの魅力に繋がっていくさまを本当に実感します。まさに森X○○の世界。

長野県伊那谷(私の母方の田舎が、箕輪町です!)の経木と料理。カラマツと家具の可能性。小説「治療塔」の様な岐阜県郡上八幡の川(あの川で癒されたい!おすすめされていた「暇と退屈の倫理学」「いのちを呼びさますもの」も読んでみます)

埼玉県小川町と東京の木場との繋ぎ(林の中の神事。魅力的ですね。本当は、塩尻の話も聞きたかった!北海道で文化財手前の古い建物でのアルベルゴデフューゾを作りたい!)

それぞれ面白かったけれど、個人的には飛騨のヒダクマさんの活動が、北海道の広葉樹の付加価値の高い有効利用の課題につながり、とても興味深かったです。

かつては、「OTARUOAK(オタルオーク)」の名でその加工性の良さからヨーロッパでブランド化して輸出されていたミズナラ材をはじめとする北海道の豊かな広葉樹。

自然への敬意を忘れた1970から1980年代の乱伐から、森林保護の訴えにより活用や流通が衰退してきた北海道の広葉樹ですが蓄積量を増やし、健全な森林と共生する魅力的な材となり、付加価値がある創造的な活用が待たれている様に強く思うのです。自生種の広葉樹は魅力抜群なんです。ミズナラ、カンバ、ヤチダモ…。

建築家が木を山まで見つけにいって、素性の知れた木に愛情を込めて使うという新しいサプライチェーンをヒダクマさんは実現している様子。山での成長の様子を見守った材料への愛着の感じ方は、従来の木の取引と比べて、全く異なると感じました。

曲がっているけど魅力的な木の活用の話も面白かったです。棟梁が木を見てその特徴や性格を活かした使い方をすると語っていたけれど、曲がった魅力的な木を3DスキャンなどのITを援用した木の個性を活かした材料の使い方にはとても先駆的なものを感じました。昔は、民家の小屋組みなどで大工が普通に実践していたものなのですが。

森は、我々の創造力を待っている事を改めて実感。ロフトワークの林さんが、木の活用立方メートルが絶対数多いのは建築なので、木の活用を建築家に呼びかけたと言っていましたが、我々、竹中工務店の一品生産のもの作りで、様々な人とコラボしながら、創造的な森への働きかけや新しい木の作法を試み、森を守りながら、広葉樹の付加価値のある利用に挑戦していきたいと強く感じました。

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