墨壺(すみつぼ)とは
大工や石工が、材木や石材の表面に長い直線を引くために用いる大工道具の一つです。
墨壺は、墨綿、壺、糸巻車、墨糸、仮子(かるこ)で構成されます。
糸巻車に巻いた墨糸を、墨汁を含んだ墨綿の中を通して引出し、墨糸の先端に付いている針(=仮子)を材木等に刺してぴんと張り、糸を指ではじいて墨線を引きます。
古代エジプトのピラミッド建設時にすでに墨壺とほぼ同じ役割を果たす道具が使われており、現在の墨壺に近い壺と糸と糸車が一体化した形になったのは、春秋戦国時代の古代中国といわれています。
日本では現存する世界最古の木造建築群法隆寺の当初材に墨線が残っていますが、残念ながら墨壺は残されていません。日本に現存する最も古い墨壺は、正倉院に保管されています。
壺はクワやケヤキ材でつくられており、工芸品として細微な装飾を施したものも多く、竹中道具館では様々な墨壺を見ることができます。
出典:竹中大工道具館
竹中大工道具館を紹介する動画の中に、実際に墨糸をはじく様子があります。墨壺をモチーフにしたアニメキャラクター『スミツボじいさん®』が、孫娘『たてこ』に30秒でわかりやすく伝える動画です。ぜひご覧ください。
スミツボじいさん®とは
竹中工務店ベテラン設計部員が木製大工道具である墨壺をモチーフにしてデザイン考案、命名した竹中認定のアニメキャラクター。 建築技術や歴史を幼い孫娘「たてこ」にわかりやすく伝える「スミツボじいさんの建物教室」の動画にひょうきんな伝道者役として登場。
尚、これまでのスミツボじいさんの動画には木造・木質関連の大工道具館編、燃エンウッド編など計6作品があります。今後もシリーズが続きますのでお見逃しなく!
Text: 竹中工務店 木造・木質建築推進本部