炭素税(たんそぜい)とは
二酸化炭素(以下CO2)などを排出する化石燃料等に課税する税金制度で、化石燃料の使用により、CO2を排出するひとや企業から排出量に応じて、税金を幅広く徴収するものです。
炭素に価格をつけることで、CO2の排出を抑制や削減するカーボンプライシングの手法のひとつで、排出枠取引制度と並ぶ主要な手段とされています。
排出されるCO2への課税額が、商品やサービスに転嫁され、商品サービスの購入費用が上昇することで、その生産の抑制、「価格効果」としてCO2の削減へとつながります。
さらに税収は低炭素技術への投資など気候変動対策の政府財源となる「財源効果」になります。
1990年に、フィンランドで最初に炭素税が導入されました。2019年での輸送用燃料の税率は、62ユーロ/t-CO2となります。また、2004年には「エネルギー製品と電力に対する課税関枠組みEC指令」が施行され、EU各国はエネルギー製品および電力に対して最低税率を上回る設定が求められるなど、多くの国々が、環境に配慮し、CO2排出を抑制する税制の導入を進めています。日本では、2012年に地球温暖化対策税が導入され、現在289円/t-CO2が全化石燃料に対して課税されています。
炭素税は、個人や企業のCO2削減努力が納税額に反映されることから、環境技術の開発や脱炭素ビジネスの取り組みのインセンティブになる一方、税負担さえすればCO2排出が認められることから、政府の定める税率、税額が炭素税によるCO2排出量削施策の重要なポイントにもなります。
CO2を固定して排出を抑制する木材、木材製品にとって有利な税制となります。さらに木材、木材製品の再利用・再資源化において、風力発電など再生可能エネルギーを活用することができれば、CO2を排出しない循環利用が可能となります。
これまで費用がかからなかったCO2の排出にコストがかかることで、森林や木材の経済価値が大きく変わることになります。
参考文献:
環境省 国内外における税制のグリーン化に関する状況について
環境省 地球温暖化対策のための税の導入
ニッセイ基礎研究所 日本の地球温暖化対策 「カーボンプライシング」の可能性を考える
Text: 小林 道和