玉、玉切り(たま、たまぎり)とは
玉という言葉は「たま」と読む場合、球形または球形に似た形のものをさすことが多いのですが、木材に対して使われる場合は、「使用可能な長さをもつ丸太」という意味になります。
玉切りとは、立木*注1を伐倒して枝払いが済んだ後、樹幹の大小、曲がり、節、腐れなどの欠点を見極めて、用途に応じて定められた長さに切断して丸太にすることをいいます。
木は山の斜面に対して垂直に生え、その後、鉛直に伸びていきます。玉切りでは曲がった部分を除き、切りわけていきます。木の根に近い側を元(もと)あるいは元口(もとくち)といい、逆の先端側を末(すえ)あるいは末口(すえくち)といいますが、玉切りの時にも、株元のほうから元玉(もとだま)、2番玉、3番玉…と上の方に向かって名前がつけられ、先端に近いものは末玉(すえだま)といいます。
元玉は、枝打ちが行われる高さ(地上から4メートル、あるいは4メートルから8メートルまでの付近)に該当するため節が出にくく、3~4番玉以降になると枝が多くなり、節が増えていくといった特徴があります。
建築用材の場合、3メートルから4メートル、あるいは6メートルの長さに玉切りをします。これは日本古来の長さの単位である尺寸にあわせており、在来工法では柱や横架材にそれぞれ、十尺(とうしゃく)約3メートル、丈三(じょうさん、1丈と3尺*注2)約4メートルの長さの木材が使われてきたことによります。通し柱などは二十尺、約6メートルです。
また、薪などの用材の場合は、暖炉・薪ストーブの燃焼室の大きさにあう長さに玉切りし、生木を乾燥させる前に薪割りをします。
最近では、アウトドア・キャンプブームやインターネットの普及もあって、DIYショップ、ネット販売店などでも薪を扱うところが増えていますが、伐採から薪割り・乾燥・保管までを自分で行う方も少なくありません。
丸太を買って玉切りし、薪を自分でつくるのが一番安く手に入る方法ですが、玉切りや薪の状態で販売しているお店もあり、引き取りや配達など、都合や予算に合わせて利用方法を選ぶことができます。
玉切りや薪割りを体験することは、古き良き里山生活を楽しむまたとない機会かもしれません。
注1:
りゅうぼく。たちき。土地に生育する個々の樹木。
注2:
1丈は約3メートル、3尺は約1メートル
参考文献:
新版・原色 木材大事典200種: 日本で手に入る木材の基礎知識を網羅した決定版
著者 村山忠親・村山元春
出版 誠文堂新光社
Text: 竹中工務店 木造・木質建築推進本部