アアルトが重視した環境との調和を模型に
アイノとアルヴァが協働で設計を進めた産業化住宅、MITベーカーハウス、パリ万博フィンランド館の模型制作ワークショップを実施しました。
本ワークショップでは、アアルト研究の第一人者としても有名なJari Jetsonen氏とアアルト財団からTimo Riekko氏を監修に迎えて、3種類の、異なる時代、異なる規模の模型を制作。
当初はフィンランドから両氏を招いて模型製作ワークショップを企画していましたが、コロナ禍のため、オンラインにて実施しました。コロナ禍でも一定レベルで活動が可能であった愛知県と岐阜県の大学を中心に、アアルト建築の模型制作を通じアイノとアルヴァの建築に対する考え方や設計方法を学びながら、ディテールにこだわった模型を制作しました。
産業化住宅は1930年代頃からアアルトが手がけた「AA-システム」にも繋がる住宅の規格化・プレファブ化に関わる設計作品です。40平方メートル程度の「最小限住宅」と呼ばれる規格から、二世帯住宅まで幅広い展開についてアアルトが模索した形跡が見てとれます。
また、MITベーカーハウスはいわずと知れた世界的にも有名な建築ですが、MITの学生寮として設計され、どの部屋からも周辺への眺望が確保できるように配慮された計画が特徴です。
また波打つように湾曲したファサードが独特の表情とリズムを生み出しています。今回の模型では、MITベーカーハウスのすぐ目の前にある川と川へ映り込んで見えてくるベーカーハウスの表情を照明を用いて精巧に表現しました。
1937年に開催されたパリ万国博覧会のフィンランド館では、現存する資料も少なく、模型での再現も困難といわれてきました。しかし、今回制作した模型では、緩やかな丘にある敷地と周辺にあった木を切らずに建物の配置を考えるなど、アアルトが重視した環境との調和も随所に現れています。
また、ファサードに使われた木材のルーバーは素材としても特徴で、細かいディテールまでを丹念に表現しています。是非、世田谷美術館に足を運んで模型を実際にご覧ください。
<ワークショップ詳細>
制作期間:2020年11月〜2021年3月
開催場所:オンライン(一部対面)
模型監修:Jari Jetsonen(Studio Jetosonen)、Timo Riekko(Aalto Foundation)
産業化住宅:日本福祉大学坂口研究室+re:art
MITベーカーハウス:re:art+日本福祉大学坂口研究室
パリ万博フィンランド館:岐阜県立森林文化アカデミー木造建築専攻
<展覧会情報>
会期: 開催中~2021年6月20日(日)★6/1より再開しました
※日時指定予約制です。チケットの詳しい情報は下記の観覧料をご覧ください。
開館時間:10:00~18:00(最終入場は17:30まで)
休館日:毎週月曜日(祝・休日の場合は開館、翌平日休館)
※緊急事態宣言などで不定期に休館する場合があります。
会場: 世田谷美術館 1階展示室
★ご来館に際してのお願い《こちらをクリック》
主催: 世田谷美術館(公益財団法人せたがや文化財団)
共催: 公益財団法人ギャラリー エー クワッド
特別協力:アアルト・ファミリーコレクション、アルヴァ・アアルト財団、公益財団法人竹中育英会
後援: フィンランド大使館、フィンランドセンター、世田谷区、世田谷区教育委員会
★ご来館に際してのお願い《こちらをクリック》
主催: 世田谷美術館(公益財団法人せたがや文化財団)
共催: 公益財団法人ギャラリー エー クワッド
特別協力:アアルト・ファミリーコレクション、アルヴァ・アアルト財団、公益財団法人竹中育英会
後援: フィンランド大使館、フィンランドセンター、世田谷区、世田谷区教育委員会
協賛: フィンエアー、フィンエアーカーゴ、アルテック、イッタラ
企画協力:S2株式会社
観覧料:一般 1,200円/65歳以上 1,000円/大高生 800円/中小生 500円
text:坂口大史(日本福祉大学)