「緑の雇用」事業とは
安全で効率的な作業ができる林業作業士を雇用・育成し、定着を図るため、研修を実施する林業経営体に対して林野庁が研修などの経費を支援する事業。未経験者でも林業の担い手として就業し、スキルアップできるような制度を用意しています。
平成15(2003)年に開始以降、年間2,000人前後だった林業における新規就業者数は、令和3(2021)年には年間3,000人前後と増加傾向にあります。
「緑の雇用」事業の支援対象には「新規就業者育成推進事業」と「現場技能者キャリアアップ対策」の2つがあります。
1.新規就業者育成推進事業
安全で効率的な作業ができる林業作業士を育成するため、新規就業者の確保・育成に関する研修を実施する林業経営体に対して助成します。
・確保対策
就業希望者が本格的に就業する前に、林業の現場作業や職場への適性を試すことができるよう、幅広い情報を提供する「就業ガイダンス」、林業経営体を現地訪問し終業後のミスマッチを防ぐための「マッチング支援」、最大3ヶ月の短期研修「トライアル雇用」の実施により、本格採用前の林業経営体・就業希望者双方の不安を解消します。
・育成対策
トライアル雇用を経て林業経営体に就職した新規就業者に対して、林業の作業に必要な基本的な知識や技術、技能を習得させるための研修です。安全かつ効率的な作業を習得するための体系的な研修「フォレストワーカー研修」を3年間実施するほか、伐採だけでなく造林まで一貫して作業ができる人材を育成する「多技能化研修」を最大2ヶ月間実施します。
2.現場技能者キャリアアップ対策
安全で効率的な現場作業を主導できる現場管理責任者(フォレストリーダー)や統括現場管理責任者(フォレストマネージャー)を育成し、現場技能者のキャリアアップを促進するための研修を支援します。
・現場技能者への集合研修
現場管理責任者(フォレストリーダー)研修とは、就業5年以上の者が、担当する現場を効率的に運営するために、統括現場管理責任者(フォレストマネージャー)研修とは、就業10年以上の者が、複数の現場を統括管理するために必要な知識・技術・技能を習得させるための集合研修のことです。
・技能評価試験の構築
長期的に減少傾向にある林業従事者を確保し、定着させるためには、労働災害の発生率を低くすることや、 収益性を改善し所得の向上が必要です。こうした安全面や処遇面を改善するため、林業従事者の技能を客観的に評価し、一定の基準で評価するための取り組みを支援します。
参考文献:
林野庁 「緑の雇用」事業と林業労働力の確保・育成について「林業労働力の動向」
林野庁 「緑の雇用」事業、緑の青年就業準備給付金事業 「事業の趣旨及び概要」
Text: 中鶴果林(ココホレジャパン)