木のまちづくりから未来のヒントを見つけるマガジン キノマチウェブ

2023.06.02
里山の回復術を学び、実践する2日間のイベント「大地の再生 in温泉津」のお知らせ

森林にダイブして、キノマチをつくる仲間をもっと増やしたい。でも、山を持っているわけでもないし、ひとりで活動をはじめるのはハードルが高いかもしれない…。そう思っているキノマチウェブ読者のみなさんに、里山にダイブして、実践的な学びができるおすすめのワークショップをご紹介します。

「大地の再生in温泉津」は、島根県大田市温泉津町(ゆのつちょう)を舞台に行われるイベントです。日本海に面する温泉街のあるまちで、森林破壊をせず銀山開発をしてきたことが評価され、2007年に世界遺産に認定された石見銀山(いわみぎんざん)の一角に位置します。

温泉津にて山を購入し、里山再生を中心に自伐型林業、製材した木材の卸売、さらにはサウナ運営まで手がける「合同会社里山インストール(以下、里山インストール)」が本ワークショップの企画・運営を行います。

まずは、キノマチとの親和性が高そうな「里山インストール」の紹介から。

里山インストールは、里山再生を事業化して地域活性に貢献することと、里山から生まれるものづくりを目指し、2021年12月にデザイナーの小林新也(こばやし・しんや)さんを中心に設立されました。

里山インストールの製材所。山から木を切り出して自分たちでつくったというから驚きです!

小林さんは、生まれ育った兵庫県小野市の地場産業をデザインの力でリブランディングし、海外への販路開拓や後継者育成事業など、ものづくりの課題に2013年から取り組んできました。

「真のMADE IN JAPAN」と言えるものづくりを目指すためには、材料の自給率も上げる必要があると考え、2020年温泉津に15ヘクタールの森林を購入。新しい里山暮らしを自ら実践するため、兵庫と島根の2拠点で里山インストールの活動をはじめたのです。

参考:江戸時代から続く地元の産業を「播州刃物」と名づけることから始まった、地域ぐるみでの継業。(ニホン継業バンク)

小林新也さん。手前に並んでいるのはこれまで手がけてきた地場産業をリブランディングした商品

「大地の再生in温泉津」では、温泉津の里山をフィールドに、未来に向けた山の回復術を学ぶ実践型のワークショップです。講師をつとめるのは、山で暮らした経験を持ち、山の再生を軸に活動されてきた大内正伸(おおうち・まさのぶ)さん。

大内さんは、人工林がもたらした環境の悪化を懸念し、人工林の再生術を図解で紹介する「図解 これならできる山づくり 人工林再生の新しいやり方」を出版。その後も「図解 これならできる山づくり」「山で暮らす 愉しみと基本の技術」「楽しい山里暮らし実践術」など、山に関わる人の参考になるような知恵が詰まった数多くの著書を出版してきました。

2023年1月には、造園技師の矢野智徳氏との共著『「大地の再生」実践マニュアル』を出版。「大地の再生in温泉津」では、本の内容や大内氏のこれまでの経験をもとに、里山の回復術を学び、豊かな生態系を取り戻すことを目指します。

講師の大内正伸氏。日本大学工学部土木科卒。イラストレーター・著作家。東京西多摩の森林ボランティアを機会に林業に関わり、技術書を著す。2004年より群馬県で山暮らしを始める。2011年、香川県高松市に転居。東かがわ市五名地区にて棚田・里山再生活動をする「Gomyo倶楽部」代表

小林さん 大内さんの本と出会い、分かりやすく解説された知恵を参考に実践してきました。里山再生の回復術を学ぶことで自然を観る目を養い、どれか一部だけに取り組むのではなく、自然は全てが繋がっていることを理解する。それが自然環境を回復させる第一歩だと思います。

さらに、エネルギーや材料などの生活資源を「自然からいただく」という、日本人が本来持っていた暮らしや精神性の回復にもつながる取り組みにしていきたいです。

初開催となった2023年5月の「大地の再生」には、40代を中心に、子どもから70代まで約25名が参加。大内氏による講演会のほか、里山の調査ツアーや焚き火を実践しました。山や耕作放棄地の活用に問題意識を持っている人や、自身が山間部に暮らしていて実践するために学びにきたという人が多かったといいます。

6月10日(土)・11日(日)に開催する第2回では、里山インストールが再生中の棚田の上流域にある山の健康状態を回復するワークショップのほか、温泉津で現役の林業家を続ける御年88歳の櫻本達男氏が温泉津で50年以上ひとりでスギとヒノキを植林をしてきた「桜本美林」の環境を観察し、巻枯らし間伐や水の流れ方の改良作業などを行う予定です。

森林の中にある川の流れかたを確認。生態系にも影響するのだそう。

小林さん 山の生態系を回復させるために必要な知識や視点を持った人が地域に増えることで、より環境がよくなると思うので、できるだけ地元の人に参加してもらえる形で続けていきたいです。地域外からの参加も大歓迎で、コミュニティができると情報交換も活発になると思います。

小林さんのように、これからはじめる里山再生の実践と、今まで管理されてきた里山を維持するための実践。森林大国の日本において、多くの地域が同じ課題に直面することになるでしょう。誰かに任せきりにするのではなく、自らがプレイヤーとなり、実践術を学んでいく。

大地再生は英語では「リジェネラティブ」と訳され、土壌を修復することで自然環境を改善し、気候変動の解決にもなりうる農業の形として、近年注目を集めています。「大地の再生in温泉津」は、普段の暮らしとの里山の関わりかたを見つける機会になるはずです。

Facebookイベントページ:https://fb.me/e/9cq4bJ7bD

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ワークショップ詳細

2023年6月10日(土)

9:00 井田まちづくりセンター集合(島根県大田市温泉津町井田ロ255番地)

電車でお越しの方はJR温泉津駅より送迎します。 9:15 温泉津駅前集合出発 ※電車の時刻(参考:出雲市駅〜8:11着or9:11着、浜田駅〜7:31着or特8:11着)or9:56着)

~12:00  桜本美林での作業(釣り竿による密度•形状比の測定、巻枯らし間伐、表土のせき止め、水の流れ方の改良作業予定)
12:00~13:00  各自昼食休憩
13:00~16:00  午後桜本美林での作業の続き
16:00〜19:00 自由時間(温泉津温泉やサウナに入るなり温泉津を楽しんでください)
19:15~21:30  温泉津温泉街の時津風にてディスカッション&懇親会(大内さんを交えて、参加者皆さんで交流する場をつくります)
21:30~ 閉店 居残りスナック(自由参加。時津風のスナック津で開催します)

2023年6月11日(日)

9:00 里山インストール集合(島根県大田市温泉津町上村271番地)
9:15~15:00  里山作業(再生中の棚田の上流域にある川の状況改善をワークショップ形式で行います)

お昼は、大内さんの焚き火術のレクチャーと共に、野外で昼食づくり(大内さん特製カレーと羽釜飯の予定)

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【料金】

A,ワークショップどちらか1日参加: ¥3,000
B,ワークショップ2日間とも参加:¥5,000
C,ディスカッション&懇親会のみ:¥3,000(1ドリンク付き、以降¥500/杯)
D,ワークショップ+懇親会 セット:¥7,500
E,ワークショップ+懇親会 セット+宿泊:¥10,000

※ 学生15%OFF
※ E, プランご希望者へは里山インストールから詳細をお送りします
※ 時津風の住所:島根県大田市温泉津町温泉津ロ23

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参加申込はこちらのお申し込みフォームにご記入ください。

(お問い合わせ先)
TEL: 0855-52-7402(時津風店舗)
E-mai: tokitsukaze.watowa@gmail.com

Text:中鶴果林(ココホレジャパン)

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