木のまちづくりから未来のヒントを見つけるマガジン キノマチウェブ

巻枯らし間伐とは

巻枯らし間伐とは、樹木を切り倒さず、樹木の表皮(樹皮と形成層の部分)を環状に剥ぐことにより、樹木内の養分や成長ホルモンの循環を断ち、水分供給を減少させ、徐々に立ち枯れさせる間伐です。

間伐は健全な森林を保つために昔から行われている重要な作業であり、通常、伐倒(ばっとう)作業により行われます。しかし、伐倒作業は多くの危険を伴う上、伐採時の木は多くの水分を含み、非常に重く、運び出すのは重労働です。

樹皮と形成層の部分を環状に剥がし、立木の状態で木を枯らす方法は、古くから「巻き枯らし」と呼ばれ、広葉樹林などで実践例がありました。2000年代に入り、林業労働者不足と、間伐を必要とする人工林の増加に対応するため、「巻枯らし」を森林整備の応用として行う「巻枯らし間伐」が注目されています。

巻枯らし間伐は、チェーンソーなどの特別な道具を使わなくても、誰でも手軽に、多くの数を間伐できる方法です。また、巻き枯らし木は、枯らして立ったままにしておくことで、残った生きた木々の雪による倒木や風倒木を防ぐ支え木となります。

一方で巻枯らし間伐の問題点も指摘されています。
・巻枯らし間伐により枯れた木は、いつ倒れたり、幹が折れたりするかわからないため、人家の近くや人が頻繁に立ち入る可能性が高い林分では危険となる。
・巻枯らし間伐後、処理木が枯死するまでに時間がかかるため、様々な穿孔虫に適した餌資源を供給し、穿孔虫の発生源となり、残存木への被害が発生する危険がある。

人工林で巻き枯らし間伐が行われるのは比較的新しい動きで、樹皮を環状にカットするだけでなく、上方まで剥がすことで、樹皮と材の間に虫が入り込まないようにする「鋸谷(おがや)式間伐」が各地で普及する契機になりました。

巻枯らし間伐を実施するに当たっては、残存木への影響を考慮した作業時期と、巻枯らし木の処理方法及び安全対策等を検討し、間伐の進まない日本の森林の間伐方法の選択肢になることを期待します。

Photo:里山インストール

Text: 竹中工務店 木造・木質建築推進本部

\フォローはこちら/
  • キノマチフェイスブックページ
  • キノマチツイッターページ
メールマガジン
第1・第3木曜日、キノマチ情報をお届けします。
上のフォームにメールアドレスを入力し、登録ボタンをクリックすると確認メールが送信されます。
確認メールの本文にあるリンクをクリックすると登録完了です。
メールマガジンに関するプライバシーポリシーはこちら