木のまちづくりから未来のヒントを見つけるマガジン キノマチウェブ

2020.02.18
「建てる、伝える、育てる」竹中工務店 松崎裕之氏 〜The Flats Woods Kiba Story10〜

『The Flats Woods Kiba Story』は竹中工務店の木造建築『フラッツ ウッズ 木場』ができあがるまでを巡る物語です。

フラッツ ウッズ 木場』は、竹中工務店の木造建築技術を多く採用した次世代のコーポレートレジデンスです。都市に“人に優しい” 中高層木造建築を建てることで、木をめぐる社会問題を解決する足がかりとすることを目指しました。適材適所に木材を使うハイブリッド構造は新時代の木造建築。木という自然の素材を使うことからはじまる、工夫と技術と思いを巡るストーリーをご紹介します。

竹中工務店 木造・木質建築推進本部長
松崎 裕之 Hiroyuki Matsuzaki
東京都出身。1986年竹中工務店入社。2015年東京本店設計部構造部門部長を経て、2016 年9月より現職。

持続可能なまちづくりにおいて不可欠な材料

今、木造建築は環境建築として世界の潮流になっています。当社も建物自体、建物の造りかた自体もこれまでとは違った取組が必要です。その取組のひとつが木造建築です。

木は伐ってもまた植えれば元通りになる循環型資源。木自体、CO²を固定することもできる地球環境に優しいもの。これから我々がつくっていくべき持続可能な建物づくりにおいて必要な材料だと断言します。

大きな木造建築ですと木材がたくさん必要になります。日本全国の森林から木を搬出してもらわなければなりません。それがサステナブルに行われるよう、利益が山へちゃんと還るような仕組みづくりも考えているところです。

木造・木質建築推進本部の重要なミッションは「森林グランドサイクル®︎」の実践。木に思い入れがある会社である竹中工務店が「木造・木質建築推進本部」を設置したのは木造建築を本格的にやっていこうという強い意思表示でもある。

竹中工務店は、工務店という名が示すように棟梁精神をもって社員一同仕事をしています。そして大きな建物であればあるほど、たくさんの人が関わります。日本全国のステークホルダーに助けてもらいながら、建物をつくるのは木造建築ならではですね。

だからといって鉄やコンクリートを使わないわけではないです。鉄やコンクリートにも良さがあるし、適材を適所に使ったハイブリッドな木造建築を目指します。

コスト面において、やはりまだ木造は少し高めです。ただ海外では木造建築は鉄筋コンクリートと比べて同等または安くつくれます。木材は軽量でハンドリングしやすいので施工工期も短くなるメリットもあります。建物自体も軽くなるので、耐震性が向上します。

そんな理由から今、海外では木造建築がブームになりました。日本でもこれから中高層木造建築の市場を拡大するための課題は3 つあって、規制緩和、技術開発を進めること、そして木材のサプライチェーンを新たにつくっていくことが必要です。

日本こそ木の文化じゃないですか。『フラッツ ウッズ 木場』は外観から、木造建築だと感じられる、わかってもらえる。さらに内装も燃エンウッドがあって、竹中工務店のアイコン的作品だと思っています。

さらに2025 年には20 階建ての木造ハイブリッド構造ビルの実現を目指しているので、楽しみにしていて下さい。


竹中工務店の高層木造建築、次の挑戦は『Alta Ligna Tower(アルタ・リグナ・タワー)』。20 階建ての建築モデルで低層部は鉄骨、高層部は木造+鉄筋造のハイブリッド構造。技術開発と併せて「森林グランドサイクル」をさらに推し進め、2025年までの実現に向け動き出している。

text:アサイアサミ photo:小禄慎一郎

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