『The Flats Woods Kiba Story』は、竹中工務店の木造建築『フラッツ ウッズ 木場』ができあがるまでを巡る物語です。
『フラッツ ウッズ 木場』は、竹中工務店の木造建築技術を多く採用した次世代のコーポレートレジデンスです。都市に“人に優しい” 中高層木造建築を建てることで、木をめぐる社会問題を解決する足がかりとすることを目指しました。適材適所に木材を使うハイブリッド構造は新時代の木造建築。木という自然の素材を使うことからはじまる、工夫と技術と思いを巡るストーリーをご紹介します。
竹中工務店 東京本店 東陽3丁目計画作業所 工事担当 【施工者】
望月 みゆ Miyu Mochizuki
埼玉県出身。2015 年竹中工務店入社。大阪での研修後、東京本店プロダクト部配属。産休育休を経て、2018 年より現職。
現場は様々な思いを受け取り、建物にする
施工管理の重要な役割は、品質と工程を管理することです。品質を確保するために施工法を検討して工事計画を入念につくりこみ、作業員さんへ工事の指示を出します。そして実際に指示通りに施工できているか確認していきます。
『フラッツ ウッズ 木場』は高層階に新しい木造技術が多く使われています。当初、施工法がまだ確立されていなかった技術もありましたが、設計段階から内勤部門を含めて様々な議論をして施工法を検討してきました。
現場では、新しい施工法を作業員さんへ説明するときや指示するとき、特に気をつかいました。作業員さんたちは長年キャリアを積んできたプロフェッショナルばかりです。
経験が豊富で仕事にプライドを持っている一方、先入観や新しいことに対して抵抗感もあるため、論理的に丁寧に説明して理解を得ることを心掛けました。
時には鋭い質問がきて、意見がぶつかることもありますが、良い建物をつくりたいという思いは一緒です。納得してもらえるように、根気強く説明していきました。また、自分がわからないことは、はっきりと「わからないから確認する」と伝えて、自分で調べたり先輩に聞いて回答を用意しました。
木造建築において木は、構造体でありながら、仕上げとして見せる部材でもあります。躯体工事をしている段階から傷がつかないように気をつけるのは大変なことでしたが、私たち現場員が「絶対に傷をつけない」という姿勢を示すことで、いつの間にか皆が大事に扱うようになっていきました。
木造建築はまだまだ新しい技術で、今後は超高層など、さらに大規模な建物につかわれていくと考えています。ここでの経験を活かし、施工管理者として技術開発にもかかわっていきたいと思います。
私は入社5 年目で、施工管理を担当するのはここがはじめてです。建物をつくりたくて入社し、産休・育休を経て2年間現場に出たいと訴え続けてきました。いま、作業着を着て建物づくりに携わっていますが自分に合っているなと思います。
子育てしながらの現場はしんどいですが、やっぱりここにいられることがすごく嬉しいです。いつか子どもに「この建物はお母さんがつくったんだよ」って実際の建物を見せながら話すのが今の夢です。
text:アサイアサミ photo:福岡秀敏