『The Flats Woods Kiba Story』は、竹中工務店の木造建築『フラッツ ウッズ 木場』ができあがるまでを巡る物語です。
『フラッツ ウッズ 木場』は、竹中工務店の木造建築技術を多く採用した次世代のコーポレートレジデンスです。都市に“人に優しい” 中高層木造建築を建てることで、木をめぐる社会問題を解決する足がかりとすることを目指しました。適材適所に木材を使うハイブリッド構造は新時代の木造建築。木という自然の素材を使うことからはじまる、工夫と技術と思いを巡るストーリーをご紹介します。
TAKリビング 管理部長
志田昭治 Shoji Shida
東京都出身。2002 年竹中工務店入社。機材センター、人事部、工務部、作業所事務担当を経て2018 年4 月よりTAKリビング管理部長に就任。住宅に欠かせない「仕上げ」の技術に注力することで、竹中工務店が推進する木造建築とのシナジーを高めている。
居住空間に木のぬくもりと潤いを与える「仕上げ」の仕事
私たちが建物で担う「仕上げ」は、住まう人にとって一番身近な居住空間の趣を左右する仕事です。『フラッツ ウッズ 木場』において『テルモリーウッド』という木材を用いた外装と居室内の木造作や家具、共用部などの内装全般を担当しています。
低層階の角部屋は、設計当初、PC 柱が直仕上げの仕様でしたが、5 階以上に使用されている燃エンウッドと同じ杉上小節(こぶし)の集成材で囲うことによりあたたかみのある柱へと生まれ変わりました。
また板材も出隅の納まりまでこだわり、12 階各所の天井には桧無垢材の縁甲板貼り、シナ合板の段々貼りなど多様な仕上げを施しています。それぞれの木材が持つ魅力を活かし、『フラッツ ウッズ 木場』に合う空間を実現できたのではないかと思っています。
一般的に、鉄やコンクリートなど建物の主材料が無機質なものになればなるほど、人は居住空間に木の温もりと潤いを求めるものではないでしょうか。建築用の自然素材にはさまざまなものがありますが、地球上で長い年月を経て育ったからこそ醸されるそのあたたかみは「木」ならでは。
木を使うことで人々の五感を刺激し、癒しや調湿などの効果により快適な空間を創造できると考えます。
text:生田早紀