曲尺(かねじゃく)とは
曲尺は大工が使う物差しで、基本的な道具のひとつとなります。差金(さしがね)、かねと呼ばれることもあります。直角に曲がったL字型の形状で、表と裏に目盛りが刻まれています。10の使い方があると言われ、すべての機能を使いこなしている大工は少ないと言われています。
曲尺の起源は、近世までは聖徳太子の発明とされたこともあるようですが、中国・後漢時代の遺跡に曲尺が描かれていることから、大陸文化の渡来にあわせて日本に伝わったとみることが正しそうです。
曲尺の便利な使い方のひとつとして、丸太の直径から切出す角材の辺の長さの導出があります。
円に内接する直角三角形の斜辺は、円の直径となることを活かして、曲尺を丸太の切り口にあてて、直径となる線を引きます。曲尺に刻まれた裏目(裏面)の目盛りは、表目(表面)の目盛りに対して、ルート2倍になっていますので、曲尺の裏目で直径を測れば、その丸太から製造できる角材の一辺長さが導き出されます。
その他、裏目を利用しながら複雑な形状を納める規矩(きく)術と呼ばれる技を大工はみずから整備し、江戸時代には高度な幾何学ともいえる実学として体系化していました。
参考文献:
竹中大工道具館