集成材とは
「集成材」は、原木から、のこ刀で挽いて切り出した板(ひき板)を、木の繊維方向が同じになるよう平行に積み重ねて、接着剤で貼り合わせた木材です。
その製造過程では、ひき板の乾燥、節や腐れなどの欠点の除去をします。また、機械的な強度や目視による選別を行います。
したがって、加工されたひき板を積み重ね、組み立てることから、長さや厚さ方向の自由度が高く、安定した強度が得られる木造部材といえます。
また、集成材は用途によって、建物を支える「構造用集成材」と建築の仕上げとして使用される「造作用集成材」に分類されます。
日本国内では、昔から、何本もの木材を鉄の「たが」や鋲などで絞めて一本の大きな建材にしており、奈良県にある東大寺・大仏殿のくぐり柱にその原型を見ることができます。
接着剤を使って木材を集成するという今日の集成材の始まりは、ドイツ人のオットーヘッツェルが考えだしたと言われています。スパンが40mのアーチを実現する手段として開発されたそうです。
日本の建築物では、最初に構造用集成材を使用した建物として、1951年、東京都に建てられた「森林記念館」(現存せず)があります。
木材は、戦後の復興期に住宅用の資材として注目を浴びるようになりますが、時代を経るにつれて、日本人のライフスタイルの変化により、木造住宅は減少していきます。しかし、阪神淡路大震災をはじめ、大規模な地震で住宅倒壊被害がクローズアップされると住宅の耐震性が問われます。強度と品質が安定した構造用集成材が再評価され、日本の住宅にまた柱や梁に使われるようになりました。
Text: 竹中工務店 木造・木質建築推進本部
参考文献: 「JAS情報 2018年10月号」日本農林規格協会