札幌の森から生まれた木を使い、北海道内で活動する木工家、デザイナー8組が椅子を制作し展示するイベント「札幌の木、北海道の椅子展」が2020年6月20日より開催。
イベントの発端は、札幌の林が2018年の台風21号と北海道胆振東部地震で被害を受け、楢や山桜が倒れて林道を塞いだことでした。
札幌の樵(きこり)が森の中に製材機をトラックで運び入れ現地にて製材。その木材を使って札幌の木工家具の作家や工芸家が椅子に仕立てて展示します。
このイベントを応援している竹中工務店北海道支店の藤田純也さんに詳細を伺いました。
藤田 改修を進める支店のワークプレイスにも、こうしたつくり手の家具を導入予定です。
展覧会では、樵と森の写真も展示し、都市型の木工、都市型の林業、そして身の丈に合った美しい暮らしを考えたいと主催者が話しておりました。森林と都市が隣接する札幌ならではの、地域に根差し密着した新しいものづくりのこうした活動から、札幌ばかりでなく、北海道、地域に根差したものづくりのネットワークが広がることを願っています。
まちと森の関係性のデザインに興味のあるには是非ご覧になっていただきたいイベントになりそうです。また、竹中工務店北海道支店では「道産木のある未来を見たいから」を合言葉に道産材の活用をプロジェクやイベントを通じておこない、木をめぐって、地元ネットワークを広げつつあるといいます。
藤田 森と林業、つくり手と使い手の顔がなかなか見えにくい木の生産体系に対して、森に近いまちの立地を活かした、顔の見えるネットワークによる、ものづくりへの挑戦が、木のまちづくりの見どころだと思います。
今回は、椅子という小さな調度ですが、新しい木のものづくりのサプライチェーンに広がるネットワークつくりになればと考えます。
北海道は有数の林業地でもあります。道産材におる木造・木質建築は、北海道らしさを表現する建築になると考え、木造・木質のプロジェクトを積極的に推進しています。
藤田 北海道でも戦後植林されたトドマツやカラマツなどが50年の歳月を経て、いま活用期に来ていますが、その多くは、産業用資材として使われることが多く、本州では82パーセントを占める建築用材が、北海道ではカラマツでは2パーセント、トドマツでも39パーセントに止まっています。
我々は付加価値のある木材利用を期待しています。スノーウッドと呼ばれる美しいトドマツやその加工性から高品質ブランドとして名を馳せたオタルオークなど、広葉樹のポテンシャルは今でも極めて高く、産地に拠ってはそのきめ細やかな生産体系や完璧なトレーサビリティーから、木の新しい生産体系の「新たなスター」に飛び出る可能性も秘めていると思います。
北海道のまちと森がいかしあう関係が成立した地域社会=「キノマチ」の予感を感じたい。そんな方はマチナカで、森と社会とまちがつながるもりづくりから生まれた「札幌の木、北海道の椅子展」を訪れてみてはいかがでしょう?
「札幌の木、北海道の椅子展」
日 時:2020年6月20日~7月5日
場 所:ギャラリー創
問い合わせ先:ギャラリー創
〒064-0809 札幌市中央区南9条西6丁目1-36
011-562-7762