所有者不明森林(しょゆうしゃふめいしんりん)とは
森林の所有者が不明、または見つからない森林のこと。
森林所有者全員の所在を確認できないものは「所有者不明林」、森林所有者の一部が不明な場合は「共有者不明森林」といいます。所有者が不明となって土地が適切に管理されなくなると、土地利用の停滞や国土の荒廃、治安の悪化といった問題が顕在化します。
日本の森林では地籍調査が進んでいないことなどの原因により、所有者不明森林が年々増加しており、全国にある森林の28パーセントを超える状況となっています。
所有者不明森林となる原因は、
・山地の相続時に所有権移転登記が行われなかった。
・所有者不在のため連絡が取れなくなる。
・維持管理の負担に耐えられず森林を放棄する。
以上のことなどが挙げられます。また適切に森林が管理されなくなることで荒廃が進み、さらに森林の公益的機能が損なわれることとなります。
このような所有者不明森林を減らし、健全な森林経営を実現するために「森林経営管理法」が2019年4月1日に施行されました。
経営管理が行われていない森林の所有者から、市町村が委託を受けて、立木の伐採及び木材の販売、造林並びに保育などを実施するものです。所有者不明林については、定められた手続きを行うことで、市町村は所有者がいる森林と同様に経営管理権を取得できるという特例が定められました。
日本の国土の67%が森林とされ、そのうち58%が企業や個人、宗教法人などが所有する私有林といわれています。社会構造の変化にあわせて私有林の持ちかたも変化しています。
参考文献:
所有者不明土地問題研究会 最終報告
平成30年度 森林・林業白書
森林経営管理制度(森林経営管理法)について
※ 写真は本文記事とは直接関係ありません。
Text: 竹中工務店 木造・木質建築推進本部