熱処理木材(ねつしょりもくざい)とは
100から200℃の高温で加熱処理することで寸法安定性や耐朽性などを向上させた木材のことです。現在、日本で展開されている熱処理木材の多くは、サウナ文化のあるフィンランドなどのヨーロッパ諸国で開発された技術をベースとしています。
木材が反ったり、伸縮により寸法が変化するのは、木材に多くの水分が出入りすることが原因です。また、木材が腐るのは「腐朽菌」と呼ばれる菌類が温度、湿度、酸素、養分といった条件と結びつくことが原因です。
熱処理木材は、木材成分の中で吸湿性が高く腐朽菌の養分となるヘミセルロースという物質の、熱により分解されやすい特性を利用した技術です。熱処理加工を施すことでこのヘミセルロースが分解・変性され、吸湿性が低下し、変形しにくく腐りにくい木材となります。
熱処理加工は化学薬品を用いた処理方法にくらべ、安全かつ比較的容易に処理が行えるなどの特徴があり、水廻り製品や床暖房用フローリング、外装材や軒天、デッキをはじめ、室内外に広く利用されています。
熱を加えて木材の諸性質を改良する方法は古くからあり、日本では杉板の表面を炭化させて耐久性を向上させた焼杉が有名です。
※ 写真は壁面の外装材に熱処理木材を採用した「フラッツ ウッズ 木場」
Text: 竹中工務店 木造・木質建築推進本部