調湿建材とは
室内の湿度が高い場合は湿気を吸い、乾燥状態にある場合は水分を放出することで、室内の湿度変化を緩やかにする機能をもつ建材のこと。よって、吸湿しても放湿する力がないものは調湿建材とはいえません。
調湿建材は日本の製品規格(JIS)によって、明確な基準※1が定められており、最低1平米あたり24時間で70グラム以上、吸ったりはいたりする性能が求められます。
昨今、さまざまな調湿建材が市販されており、素材別には、土質系、石質系、木質系の3つに大別できます。いずれも表面に目に見えない小さな穴(細孔)がいくつも開いており、その穴から空気中の水分を出入りさせることで湿気を調整(調湿)しています。
調湿性能(湿度を調整する能力)は材質や材料表面の細孔の量、大きさ、連続性や製法によって異なります。そのため、どのくらいの性能があるかを測定するための試験方法もJIS※2で定められています。
原木から切り出したそのままの木材(無垢材)は、調湿建材と謳えないまでも、調湿機能を持った建材といえます。これは、木は伐り取られた後も、木を構成する水分子を引き寄せる水酸基を持つ細胞(セルロースとヘミセルロース)が保持されるため、これが、多湿であれば水分を吸収し、乾燥状態であれば水分を放出する働きをするからです。
「無垢材は呼吸をしている」といわれる所以がここにあります。
※1
一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会
「調湿建材登録・表示制度」に関する調湿建材判定基準
※2
JIS A 1470-1 第1部:湿度応答法
JIS A 1470-2 第2部:温度応答法
Text: 竹中工務店 木造・木質建築推進本部