木のまちづくりから未来のヒントを見つけるマガジン キノマチウェブ

2022.02.17
編集長が北海道の森で植林した話 〜植林は森林グランドサイクルを循環させるのか〜前編

北海道の森林グランドサイクル・続編

こんにちは。久し振りのご挨拶のような気がします。

少し前からキノマチウェブでは「北海道FMセンターができるまで」と題して、北海道での森林グランドサイクルにスポットを当てて特集してきました。

北海道地区FMセンター』(以下FMセンター)は、無事に2021年11月に竣工しました。木造建築は、森林グランドサイクルにおける「木のまちづくり」に相当します。そこから「森の産業創出」フェーズに移行します。

FMセンターが建てられたのはもともと札幌中心部から約5キロほどの南西にあった「山鼻屯田兵村」という地域ですが、FMセンターができたことでこれからものづくりの拠点として地域経済が活気を帯びていくことに大いに期待したいですね。

併せて、「持続可能な森づくり」にも考えをめぐらせなくてはなりません。

今回のFMセンターでは、ようてい森林組合地区内の森林からトータルで280立米のカラマツを伐採しました。

伐採したあとの森林を放置するのではなく、次の世代に向けて新たな木々を植え、循環させていくところまでが森林グランドサイクルのものづくりです。

余市郡二木町東町での植林へ

2021年9月25日「日経DeepInsight」で、政策報道ユニット長の藤井一明氏は「眠る森林資源に光を」のタイトルで以下のように述べていました。

スギやヒノキは植え始めてしばらくは光合成が盛んでCO2の吸収量が順調に伸びる。その後、環境によっても違うが、吸収量は下り坂となり、呼吸量との差し引きでみれば50年から70年を過ぎると植え始めとさほど変わらない水準に落ちてしまう。CO2の吸収力が弱る「森林の老化」を防ぐには適度に伐採し、木を植え替える必要がある。今は手入れをする人も資金も足りない。

そうなんです。植え替えは必要なのですが、植林のためにかり出される人、そして植える苗の準備や植林場所に到着するまでの費用や労力が、地域ではかなりの負担になるのです。

そのような議論があるなかで、今回は、FMセンターとつながりのある竹中工務店北海道支店の有志とキノマチプロジェクト関係者の12名は、伐採された跡地である北海道余市郡二木町東町の細長い対象斜面に植林するため、FMセンターに使用したカラマツの生まれ故郷へ向かいました。

余市郡二木町東町の細長い対象斜面(赤色部分)

ようてい森林組合の方々のご協力のもと、今回の植林地は、0.2ヘクタール(2,000平方メートル)の斜面です。1953年に植えられた樹齢68年のカラマツを伐採した跡地です。

斜面に沿って2.1メートルのピッチで長い巻き尺を張り、それをガイドに2メートルピッチで長さ50センチ位のトドマツの苗を全部で470本植えるというものです。細長い敷地に照らして考えると、斜面に沿って47本の苗木を10列植えることになります。

ようてい森林組合の皆さんが丁寧に包んで用意してくださった苗木を見ていると、地面に生命を吹き込むような神聖な気分になってきます。

丁寧に準備されたトドマツの苗木。

9時40分より植林スタート!

やりかたは、シャベルで30~40センチのの立方体形状の穴を掘り、そこに苗木の根を傷つけないように大事に置きながら掘った土をかけて地面を足や手で締め固めます。

基本ひとり作業であり、かがんで片手で根を宙に置きながら足やもう一方の手で土をかけるのって結構、柔軟性と筋力と持久力が要るんです。

2.1メートルピッチの巻き尺に沿って植林中。

当日は小雨で、足元がぬかるんでいる上、伐採した木の切り株跡や地中に残る根っこが障害でシャベルが入らないなど、思うように植林ははかどりません。やっぱり慣れてないから、時間がかかります。

結構な重労働。

作業開始から10分程度の休憩を挟んで11:50位に作業は終了しました。実質作業時間は2時間。お疲れ様でした!

植えた方向を振り返ってみると遠い山々と紅葉をバックにぎこちないながらも並んだ苗木が点々と列を作り、苦労の甲斐、達成感のようなものが沸いてきました。ふう~。

植林後の斜面を振り返る。時間は11:15。その後、大雨に。気温6℃

でも植えられた苗木を傍で見ていると、空に向かってすっと伸びていて清々しい気持ちにもなります。また汗をかきながら苦労して植えることで苗木に対してなんとなく愛着が沸きます。

空に向かってすっと伸びる癒しの苗木。

今回、僕は実際の植林だけをしたわけなんですが、本来、この活動がルーチンになるためには土地の選択、交通手段、苗木の準備、スケールやスコップ等の用具や道具の手配、天候予測と対策など、今回はようてい森林組合の方々がしてくれたような支援は誰かが担わなくてはならず、そのためにはやはり地域が活性化しないことには成り立たないことを痛感しました。

それと共に今回の活動でいったい、北海道FMCで使われた280立米の建築建材のどのくらいがまかなえるものなのか、そこにも興味が沸いてきました。

ということで後編では地元のサポートの恩に少しでも報いるためにこの植林活動がサステナブルに循環するためのロジックというか、数値化を考えてみたいと思っています。

後編につづく)

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(語り手)キノマチウェブ編集長
樫村俊也 Toshiya Kashimura 
東京都出身。一級建築士。技術士(建設部門、総合技術監理部門)。1983年竹中工務店入社。1984年より東京本店設計部にて50件以上の建築プロジェクト及び技術開発に関与。2014年設計本部設計企画部長、2015年広報部長、2019年経営企画室専門役、2020年木造・木質建築推進本部専門役を兼務。

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