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担い手不足とは

近年、日本では生産年齢人口(15-64歳)の減少により、産業の担い手不足が進行しています。

林業における担い手は「林業従事者」を指しますが、林業従事者数は、約4万5千人(2015年時点)で、直近10年間で13%減少しています。

就業するには「森林組合の現場職員として勤務」「民間の造林会社、素材生産会社等の林業経営体に就職」といった方法がありますが、山に入って木を伐るといった現場で働く人が不足している現状です。

産業人口の減少は避けられない課題ですが、担い手不足を緩やかにするためには、林業を魅力ある産業にしていくことが求められます。

そこで、林野庁では2003年度から「緑の雇用」事業を推進し、林業経営体が行う新規就業者に対する人材育成研修等に必要な支援を実施。「緑の雇用」を通じて林業に従事した場合、就業から3年経過時の定着率は全産業よりも高くなっています。しかし、7年以上が経過した際の定着率は50パーセントを下回り、長期的な定着率は低い傾向です。

定着率の向上を図り担い手不足を解決するためには、主に給与面と安全面が課題です。

給与面では、全産業と比較すると平均給与が約90万円低く、特に30代から50代で大きな差が見られます。

安全面では、災害の発生度合いを表す「死傷年千人率」が、全産業の中で最も高くなっています。林業は急傾斜地など足場の悪い作業環境の中で木材を扱い、危険を伴うためです。

(安全面)元データ

2024年に施行される「森林環境譲与税」は、森林整備などに関する施策の財源に充てられるため、林業への強力な後押しといえます。

この制度を活用するためには、林業従事者の確保・育成はもちろん、整備する山の把握が必要となりますが、相続時に所有権移転登記がされず「所有者不明林」となっている山は、全国の森林のうち28パーセントにのぼります。実は気づかずに相続時に山を所有していることもあり、山主の承継も大きな課題と捉える必要があります。

森林は、木材の生産という産業的な側面に留まらず、地球温暖化や土砂災害の抑制に大きく貢献する「水源涵養機能」を持っています。

社会経済と環境配慮の両側面で貴重な資源である森林を次世代につなぐためには、「林業従事者の育成」と「山主の承継」の両方を林業における担い手の課題と捉え、森林を適切に管理することが大切なのです。

参考:
農林水産省
令和2年度 森林・林業白書(林野庁)
林野庁 林業労働災害の現況

Text: ココホレジャパン

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