違法伐採(いほうばっさい)とは
違法伐採とは、各国が取り決めた法令に違反している森林伐採のことで、それによって森林経営の阻害や森林破壊などの問題が引き起こされます。
所有権がない森林を無許可に伐採する「盗伐」をはじめ、伐採許可量を超える場合や、保護された樹種・禁止地域の伐採などが「違法伐採」に該当します。
これらの違法行為により、下記のような問題が起こるといわれています。
1.森林経営の阻害
森林の管理コストがかからない違法伐採の木材が低価格で流通し、木材市場の価値を下げることが懸念されています。安価な木材の流通は、森に関わる人や森に入る資金を減らし、森林経営に大きなダメージを与えます。その結果、適切なコストをかけて森を管理することが難しくなり、さらに森自体の価値を下げるといった負のサイクルを招きます。
2.森林破壊
違法伐採は、近年問題となっている森林破壊の原因のひとつです。木々が制限を超えて大量に伐採されることで森林面積が減ると、山の水資源の貯留ができなくなり、洪水や土砂崩れを起こす可能性が高まります。(水源かん養機能)
また、無計画な伐採が森を取り巻く生態系を壊し、森の生き物たちの住処を奪うなど、生き物の暮らしにも大きな影響を及ぼします。
政治・経済が不安定な国ほど違法伐採に関する法令が整っておらず、違法伐採が行われやすい傾向にあります。2015年に行われたドイツ エルマウ G8サミットでは、主要な熱帯木材生産国で生産される木材の50パーセントから90パーセントが違法伐採に当たると報告されました。
近年、木材需要が高まっている日本でも違法伐採の木材が、家具や紙類など加工された形で海外から輸入されている可能性があります。気づかないうちに違法伐採の木材を使っていたということがないよう、2017年に合法伐採の木材の利用を促進する「クリーンウッド法」が施行され、違法伐採を取り締まる動きが強まっています。
参考文献:外務省「違法伐採問題」
Text:岩井美穂(ココホレジャパン)