木のまちづくりから未来のヒントを見つけるマガジン キノマチウェブ

2020.09.18
雇われ編集長の「生涯学習」③ⅮⅠYからキノマチウェブを考える

今、キノマチウェブでは「DIY」という連載特集を組んでいます。

僕が「DIY」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは東急ハンズ渋谷店。渋谷区宇田川町のオルガン坂と渋谷センター街の雑然とした通りに面した一角に旗艦店として1978年にオープンしました。

当時、僕は建築学科の大学2年生でした。すぐ傍にタワーレコードがあってAOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)が全盛期。僕はそこでロビーデュプリー、ルパートホルムズ、エアーサプライ、ボビーコールドウェル(レトロ!)などの輸入盤レコードを買いあさっていました。

さて先日、久し振りに宇田川町へ出かけてみると、タワーレコードのあったビルあたりに「大阪王将」の電光看板が異彩を放っていました。

2020年の夏、オルガン坂から渋谷センター街通りを見る。

雑然さはあいも変わらず、それどころか「渋谷で大阪!」のなんでもあり感がこのまちの逞しさを醸し出していました。一方で東急ハンズの正面ファサードは、少しくたびれた感はありますが、昔と変わらず今でも味のある佇まいを見せています。

オルガン坂と正面ファサード

当時、東急ハンズ渋谷店は、その多面体に丸柱の特徴的な立ち姿と緑色の社名のロゴが斬新で、そこに行けば木製材料や工具のなにかしら面白いものが見つかるような日曜大工の百貨店のようなイメージで名を馳せていました。

一方、当時(今もかな)、建築科学生にとってDIYといえば、建築模型を作成すること。模型材料は建築学科の友人に教えてもらってお茶の水駅すぐの「レモン画翠」(1923年創業の画材店が前進の老舗)で購入していました。

そこに行くときはなにか、建築士を目指すぞ!といくぶんか、肩に力が入っていました。こちらは建築模型をつくるためのホワイトスタイロフォームや木製のバルサの何ミリ厚といったピンポイントの寸法まで念頭に買いに行く専門店のイメージです。

そう、目的によって行く先は違っていたんです。私の意識にある2つのDIY拠点はそれにしても、どちらも本当に長く頑張っていますよね。

このキノマチウェブも「これからなにかやってみよう」という方々を読み手として考えるのか、はたまたより尖った木の専門家や活動プレイヤーに焦点を絞って発信していくべきか。、そこはなかなか難しい選択になります。

今は広く仲間を増やす段階だと思っているので、木に関わるAtoZなどの基本知識になりそうな記事を充実させながらも、専門家の皆さんの関心を引くような世の先を行く初物(ハツモノ)情報も盛り込んでいきたいと目論んでいます。

なんとと図々しい。ぶらっとハンズに出向くような人とカッチリ目的でレモンを目指すような人の二極に単一のウェブを順応させようとしているのですから。

僕としては、そんなウェブの運営を長く続けるにはどんな方針に基づく必要があるのか、を考えてみたくなります。掲載されるコンテンツ自体の充実や新鮮度は必須として、世に星の数ほどもあるウェブサイトのなかで長く皆さんの関心をひく制作、運営上のモットーのようなものです。

今、思い浮かぶこととしては、第一には提供するコンテンツの「信頼性」に重きを置くこと。「手軽にアクセスできるウェブにおいて信頼の魂」って感じかな。建築という、やり直しがきかない一品生産の世界に長年携わっていたからか、それが染み付いていて、まずそこははずせないと思います。

そして第二には今まで話をしてきた同一サイトで対象二極をおもてなしできるデザインと動線計画。これにはキノマチウェブに辿り着くまでとウェブに着いてからと両方あります。前者はこれからFacebookの公式ページを立ち上げるなどしてお友達ルートを広げたいと思っています。一方で後者は連載コーナー AtoZ などの一般向け記事から「Smart Obelisque」のような先進事例まで、多様なコンテンツから、次に皆さんが移りたくなるような工夫が必要だと感じています。「話が繋がるキーワード」はうまくその機能を果たせているのでしょうか、そこもはずせない。

サステナブルなウェブであるために「信頼」と「対象二極のおもてなし」の2つを制作、運営上のモットーにしたいと考えています。

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(語り手)キノマチウェブ編集長
樫村俊也 Toshiya Kashimura 
東京都出身。一級建築士。技術士(建設部門、総合技術監理部門)。1983年竹中工務店入社。1984年より東京本店設計部にて50件以上の建築プロジェクト及び技術開発に関与。2014年設計本部設計企画部長、2015年広報部長、2019年経営企画室専門役、2020年木造・木質建築推進本部専門役を兼務。

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