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リジェネラティブとは

「リジェネラティブ(regenerative) 」とは、言葉としては「再生させる」という意味で、自然環境や生態系を修復し、持続可能な形で再生させることを指します。もともとは農業の取組みを説明する言葉でしたが、最近ではあらゆる産業やビジネスシーンにおいて「環境再生型」といった文脈で使われるようになった注目のキーワードです。

「サステナブル(sustainable) 」は、地球環境に負荷をかけず、自然資源を維持しながら豊かな社会を目指すことですが、「リジェネラティブ」は、損なわれた地球環境を能動的に再生・回復させ、自然の循環を促進する取り組みを含みます。

環境問題の中には現状維持=サステナブルだけでは解決できないものも多く、自然資源や生態系を再生することで問題が解決できる「リジェネラティブ」の動きが世界的に広まっています。

単に循環型社会を目指す、炭素大量消費を「脱する」ことに留まらず、地球に生息する一員として動物や森林の生態を含めて地球環境をより豊かにする営みが我々人間にも求められています。

キノマチウェブにおけるリジェネラティブとして、ここでは森林業界や木材業界に目を向けてみましょう。

森林におけるリジェネラティブの実践

リジェネラティブの実践として、相互に関係し合う、以下のような活動を組み合わせていくことが求められます。

・持続可能な森林経営(間伐)
「人工林」の中には、林業の担い手不足などにより手入れが行き届いていない森林が数多くあります。放置された森林には木が隙間なく生え、光が入らず、水源涵養機能の低下や木が細々と成長するなど様々な問題を引き起こします。そこで、込み合った森林の樹木を一部伐採する「間伐」を行い、木がすくすくと育ち、森が本来の機能を維持できるよう活用し、再生を促します。

関連記事:【K】間伐【N】担い手不足【S】森林の水源涵養機能

・生態系の修復
全国各地の森林では、水脈がダムやコンクリート道などの人工物にふさがれ、土壌の呼吸不全が引き起こされています。また近年の異常気象による泥水や洪水により森に暮らす生き物が弱り、木が枯れるなどの生態系に異変が生じています。大地の血管である水脈を回復させるため、人の手によって土地に水や空気の抜ける溝のような通り道をつくり、自然の機能を生かしながら生態系を修復します。

関連記事:今、大地が呼吸不全を起こしている。未曾有の被害を受けた林業会社が乗りだす、自然みずから蘇る力を生かした開発

・二酸化炭素を吸収する役割としての森林
日本の森林では年間で約4568万トン(2022年度実績)もの二酸化炭素が吸収・固定されており、森林は地球温暖化を防止する役割を担っています。利用期を迎えた木をタイミング良く伐採し、新たな苗木を植樹することも二酸化炭素の吸収量を保つことにつながります。

関連記事:【K】木の炭素固定

木材業界におけるリジェネラティブの実践

木材業界におけるリジェネラティブに対しても以下のような活動を相互連携の上で継続していくことが必要となります。

・循環型経済(サーキュラーエコノミー)の実践
サーキュラーエコノミーとは、原材料の調達から再資源化までのプロセスで「廃棄を前提としない」ものづくりのことを指します。製材時に発生する木くずをバイオエネルギーの燃料にしたり、木質廃棄物を新たな製品に生まれ変わらせたりと、生産工程が短く抑えられる木材はサーキュラーエコノミーを実現する原材料として活用されています。

関連記事:【C】サーキュラーエコノミー

・環境フレンドリーなデザイン
木材を使った建築やプロダクトは、環境にも人にも優しいデザインとして需要が高まっています。木造建築はこれまで戸建住宅を主としていましたが、公共施設やホール、学校などでも構造材や内装仕上げ材に木を、さらには国産木材を使おうという動きが活発化しています。まちづくりや建築において国産木材を活用する機会が増えると、国内の利用期を迎えた木が適切に伐採され、森林に好循環が生まれます。

関連記事:中高層木造建築は脱炭素社会への布石になるのか。竹中工務店の木造建築から紐解く木造ムーブメント

・ステークホルダーや地域との連携
森林が様々な自然環境とつながっているように、森に関わる人々も見えないところで作用し合っています。持続可能な森林で調達した木材を活用するためには、山で木を伐る人、製材する人、運搬する人、まちで使う人など、それぞれのプレイヤーやステークホルダーとの連携が欠かせません。ともに課題を共有し、協力し合いながら木材をスムーズに流し、利用を進める社会を目指しています。

関連記事:【S】森林グランドサイクル【K】川上・川中・川下

森林に関わる人々や木材業界、さらに川下の建設業界などについてもリジェネラティブの意識を持って自然環境を尊重し、持続可能な資源利用を進めていくことが、今後、「必要」から「必須」になっていくと考えられます。

参考:
農林水産省「農林水産省が「みどりの食料システム戦略」策定して先回り
林野庁「持続可能な木材利用
林野庁「森林整備事業
林野庁「森林・林業・木材産業の現状と課題

Text:ココホレジャパン

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